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チラッと男の後ろに目をやる。
倒れ込む男の姿。
先程の銃声はあの男に放たれたものだったようだ。
男の頭から血が出ていて、地面を血溜まりにしていた。
カタカタと震える私を若い男は見つめる。
近くで改めて見た男の顔はすごく綺麗な顔立ちで、人を殺められるとは思えない。
「お嬢さん」
「ぇ………」
いきなり話しかけられ、間抜けな声しか出なかった。
「君の名前は?」
知らない人に名前を聞かれても普段なら絶対答えないはずが、何故かこの人には答えなきゃいけないという気持ちになってしまった。
「……………暁琉」
「そう、暁琉。君はここで見た事を忘れなさい。それが君のためでもあるよ」
男はそう言って笑みを浮かべると、闇の中へと消えていった。
「………………」
何が何だかわからず、呆けていると、後ろの方から足音が聞こえた。
「銃声がした方はここか!?」
「誰かいるかー!?」
(やばい、こんなとこにいたら疑われる!!)
私は慌てて立ち上がると、その場を後にした。
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