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胸がきゅっと締め付けられる。
熱い。
恥ずかしさと、嬉しさと……様々な感情が入り交じって、頭がパンクしてしまいそうだ。
胸が熱い。
頭が熱い。
手が熱い。
顔が熱い。
全身が熱い。
感じた事の無いドクドクと跳ねるように動く鼓動。
唇をぎゅっと噛み締める。
涙が出そうだった。
「俺があの日、暁琉を雇ったのは…ほんの気まぐれだった……あの日の暁琉が、自分の昔の姿に重なったから…でも……暁琉は前を向くのが、現実を受け止めるのが早かった。俺の場合、今の組織に拾われるまでずっとこの世界を憎んで、弱い自分自身も憎んで……何もしてこなかったから」
「…………」
「だから、現実と向き合おうとして頑張る暁琉の姿に俺は心を撃たれた。出会って過ごしたこの数ヶ月の間…色んな暁琉の姿を見る事が出来て、色んな顔を俺に見せてくれる暁琉の事を…いつの間にか好きになってしまっていた」
いつの間にか、お兄さんは敬語では無くなっていた。
新鮮だけど、切実で、お兄さんの気持ちがつたわってくる。
「俺は裏の人間で、数多くの人を殺して来たただの殺人鬼が、人を好きになる資格はない……でも………………暁琉とは、これからも一緒にいたいと思っているんです。離したくないんです……」
「お兄さん……」
「欲深くて、卑怯な俺ですが…………それでも暁琉は俺に好きと言ってくれますか?」
今にも泣きそうな顔をするお兄さん。
私よりも4つ年上の大人なのに、今は小さな子供のようだ。
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