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吾輩はまた一人になった。戻ってきた静寂に大きく息を吐く。きっと、さっきのが最後の客人だろうからこれで心置きなく眠れる。
父の願いの「皆に愛される」というのも人がいなくなればもうお終いだろう。役目を終えた今の吾輩を、あの人は誇りに思ってくれるだろうか。記憶の中の彼の姿に問いかけるが何も返してはくれなかった。
体も半分ほど埋まり意識も途切れ始めた。うとうとしていると懐かしいぬくもりを感じた気がしたが、きっと泡沫の夢だ。
もう待たなくてもいい安堵と降り積もる砂を枕に、吾輩はゆっくりと闇に沈んでいった。
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