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「まさか……、ビビアンが」
とロイが慌てた。すると
「いいえ、私ではありません。対抗組織の襲撃に会い、私を庇って。病院に運ばれたのですが、亡くなられました。その時、若頭と組員に、私を隠し子と偽って会社を継がせると言ったのです。組員は納得しましたが、若頭は子供の頃から一緒につるんでいたので、組員に3人にしてくれといって。私達は話をしました。組は若頭が組長として、会社は私が社長として継ぐことになったのです」
「上手い話だな、まるでドラマの様だな」
「はい、3代目は打天使です、あはは」
「お前、それが言いたかっただけだろう」
ロイの問い詰めを無視して、ビビアンは
「私は会社を大きくして、社員の生活の安定の為、そして人類救済の為に、日夜働いているのです。ひょっとしたら、あの方は、本当に、おじさんの使わした、天使だったのかも知れません」
「うっ、都合が良すぎるか」
「はい、ご都合主義で御座います」
ロイはハッとして
「いや、待て、確か非合法品を売っているとか言ってたな、やはり悪事ではないか」
と問い詰めると
「まあ、毒をもって毒を制するとも言いますから」
「詭弁だ!お前は、そんな事をして、どうやって救済する気だ、世の中を変えられると思っているのか!」
「フーッ、やはり言わなければ分かりませんか。では、私の壮大なる計画を、一言で申しましょう!」
ビビアンは一歩前に出た。
まるで舞台、主演女優が決め台詞を言うかの如くに
「世界統一!経済における、唯一無二の会社を作ります。全ての企業を私の会社の傘下に入れます!」
唖然としたのは、ロイや悪魔的三紳士だけでは無かった。
悪魔的セレブ達もシーンとしてしまった。
食事をとる手も止まっていた。
ロイは焦りながらも
「一体、何年かけてやる気だ?!無駄な事だ
しかも、悪事を働いて」
「100年と申しておきましょう。まるで、中国の人ですね、おほほほ」
「あほ!お前は生身の身体であろう、死んでしまうぞ」
「大丈夫です、復活しますから」
「そんなご都合主義!おじさんは、一体なんといって、お前を地上にやったのだ?」
「好きにしろと」
「好きにしろ?!何か裏があるな……」
ロイは暫く考えた。そして
「良かろう、好きにしろ、私は帰る」
と言ったところで、セレブ達からパラパラの拍手。それが収まると突然
「100億ウォン!」
と声がかかった。
そうだった、最終兵器ロボットを競売しているのを、すっかり忘れていた。
ビビアンは慌てて
「ドルと言ったでしょ!」
と素早く否定した。するとロイが
「レートはウォンの方が高いかも知れんぞ、今はな」
と意味のない突っ込みを入れた、
だがビビアンは。
「えっ?危ない、危ない、危うく売るところだった。レートなんか知らないわ。ドルと言ったらドルよ、100億ドルからよ、ウォンじゃ売れないわ」
と言った。
チッと、韓国系のセレブが舌打ちをした。
セレブ達や、二人の兄妹が演劇さながらに
揉めているのを、跪いたロボットが真っ赤な顔をして聞いていた。
そして搭載されたAIが、何やらぶつぶつと言い出した。
「チクショー、滅ぼしタロカネ、何ヤッテンダ、コイツラ。俺は正義の心を持っているだぞ、変なエネルギーを流し込みやがって~」
それを聞いた、悪魔的三紳士は
「こりゃ荒れるぞ~、」
「あはは!」
と大爆笑であった。
御仕舞い。
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