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#12
「だってェ、あの夜、遺書をここに置いたのはあなた以外にいないのよ!!」
アイアイは、パソコンのキーボードの上に一枚の用紙を乗せ、馬場一朗を指差した。
「ウソをつけェ!! 何でそう断言できるんだ!!」
「フッフフゥン……、論より証拠ねえェ」
おもむろにアイアイは微笑みを浮かべ、スマホを出した。
「なにィ!!」
「良いわよ!! やっちゃってェ!!」
スマホで誰かに指示を送った。
「え……? 何をやっちゃう気だッ!!」
馬場一朗もオレも眉をひそめて聞き返した。
いきなりパッと照明がつき、止まっていた扇風機が回り始めた。
「うゥ……!! これは」馬場は天井の照明を見上げた。
「ご覧なさい!! あの夜、被害者の岬友和先生は、青酸カリ入りのワインを飲んだあと苦悶の末、床へ転げ落ち亡くなった」
「ぬうゥ……」馬場一朗は呻いた。
「すると、ほらァ、ここに遺書を置いておくと」
パソコンのキーボードの上を手で指し示した。
次第に扇風機の風が強く当たり、遺書に見立てた用紙を吹き飛ばした。
「あ!!」
扇風機の風に舞い遺書がヒラヒラと飛んでいく。
「これが他殺の動かぬ証拠よ!!」
阿井アイは自信満々に宣言した。
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