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#6 真犯人はあなたに決定!!
「わかってますわ!! ですから真犯人はあなたに決定なんですよ」
まるでアイアイは当然のような口ぶりで、馬場一朗を指差した。
「なにィィ!! ふざけるな!!
何度も言うが、ここにアイツの……、友和の遺書があっただろう!! 読んだのかァ!?
ちゃんと、あの遺書を!!」
馬場一朗は憎しみを込めてアイアイを睨んだ。
「うん、そうだ!!」
オレも頷くより仕方がない。
すでに筆跡鑑定の結果も岬 友和のモノに違いないと判明している。疑いようもない。
「あの字もサインも岬先生のモノに間違いありませんよ」
担当編集の夏八木も太鼓判を押した。
「ええ、わかってます。でもあれは遺書でもなんでもありませんから」
だが、あくまで阿井アイは強気の姿勢を崩さない。
「なにィ!! 遺書じゃなかったらなんだと言うんだァッ」
「あれは、ただの岬 友和先生のサインと、『これでおしまいだ』と書かれた手紙ですよ」
アイアイは余裕の表情で応えた。
「なッ!!」
「えェ、手紙……?」
「そうです。あれは遺書なんかではありません。
馬場さんに送った手紙の一部を抜粋しただけですよねェ……!!」
「なにをォ……!!」
「あなた方はエ○リークインのように二人で小説を共同執筆していた。
しかし実際、これらの著作のほとんどは亡くなった岬先生が書いていたンでしょ」
本棚に並んだ著作を指差した。
「ぬうゥ……、それは」
馬場一朗は視線を逸らせた。担当編集者の夏八木も困惑気味だ。
「これは、あなた方のデビュー作。
ペンネームの元にもなった『明日はトモロー』シリーズの第一作ですねェ!!」
アイアイは手に持った本をかざした。
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