実は私たち……

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「それだけやれば、私が六億七千万円もらえるのね?」 「はい、間違いございません」 「わかったわ、今からコンビニ行ってくるから」 「ギフト券をご購入されたら、またお電話いたします。十五分後でかまいませんか?」 「ええ」 「了承しました。この度はご当選まことにおめでとうございます」  智子は小さくため息をついて、電話を切った。  そして、小声でつぶやいた。 「バーカ、そんな手に引っかかるかよ」  五分後、待ち合わせの相手である弘が走ってきた。 「ごめーん、待った? 遅くなったね、悪い悪い……」 「大丈夫。今、面白い電話があったから」 「電話? 誰から?」 「詐欺師からっぽかった。暇だったから、しばらく相手してやったけど」 「ハハハ、詐欺師か。電話の相手も俺たちの正体を知ったらびっくりするだろうな」 「それより、弘。お金はいつ受け取りに行くの?」 「十一時半だ」 「ちゃんと五百万、用意してるかな? あのおばあさん」
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