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智子のスマホが鳴ったのは、駅前の噴水前で弘と待ち合わせをしているときだった。
非通知着信だったので、少し戸惑ったが、智子は電話に出てみることにした。
「もしもし」
「おめでとうございまーす」
陽気な男の声だった。
「はあ……?」
「おめでとうございます。あなたは『日本政府ビッグハッピーくじ』に当選されました」
「ビッグハッピーくじ? 何それ?」
「はい、それでは少々ご説明させていただきます。ビッグハッピーくじとは、日本政府が日本国民の中から困窮している方を対象に、救済の意味で、給付金を配布させていただく一種の宝くじでございます」
「それに私が当たったの?」
「その通りです。しかも当選金額をお聞きになれば、きっと驚かれると思います」
「いくら……?」
「六億七千万円でございます」
「六億七千万円……その金額、本当に私がもらえるってこと?」
「はい、本当に本当でございます」
「まあ、嬉しい。一日にして大金持ちね」
「はい。ただ、賞金の受け取りに関して、少々やっていただきたいこともございますが」
「何をすればいいの?」
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