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結婚を前提としたおつきあいをしていると、彼の両親へ報告に向かった際に、「それならば離れをつかえばいい」とあっさり許可がおりたのを皮切りに、あれよあれよと結婚準備がすすめられていった。
そのスピードにはじめついていけずにいたマヒナだったが、姉のマキナ経由で事情を知った両親もこの動きに喜んで賛同し、三ヶ月後には晴れてアイカワマヒナとして、仏教式の結婚式を挙げたのである。仏教式とはいえ、式典で着るものは一般的な結婚装束と変わらない。マヒナは秋のはじめに白無垢で仏像の前で愛を誓った。
マヒナがアトリエとしてつかうことになったのは、ふたりが結婚する際に改築された木造平屋建て、通称「離れ」だ。
そして新しくなった離れはふたりの愛の巣にもなったのだった。
「急がせちゃってごめんね。早くマヒナを俺だけのものにしたかったんだ」
初夜の床でマヒナが身につけていたのは真っ白な襦袢だった。頼りない腰紐を結んではいたが、彼の手で引っ張られただけで襦袢ははだけ、生まれたままの姿にされてしまう。恥ずかしそうに頬を赤らめ、顔を伏せようとするマヒナの顎を手に取り、キヨミネは啄むようなキスをする。
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