出会い

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 ネームプレートに書かれた名前を読み上げられて、マヒナは慌てて首を振る。いまは姉の代わりにこの場にいるのだ、間違えないようにしないと。  思わず彼が着ているものをまじまじと見つめてしまったが、彼は嫌な顔ひとつせず、彼女のすきなようにさせてくれた。  ネームプレートには合川清峰、三十一歳、自営業と記されている。 「俺、アイカワキヨミネっていいます。あの、マキナさんとお呼びしても」 「ええ」  どこか朴訥としたキヨミネの態度を見て、マヒナもこくりと頷く。周囲のキラキラしているカップルからすれば地味で場違いなふたりだろうが、いまのマヒナにはキヨミネのような男性の方が安心できる。テーブルの上に並べられた料理に舌鼓を打ちながら、ふたりは会話に夢中になっていく。思わず仏像鑑賞が趣味だと口走ってしまったが、彼はそんな彼女にひくこともなく、相槌を打ってくれた。マヒナをやさしく包み込んでくれる彼の姿はまるで仏様のようだ。  きけば、キヨミネは市内にある寺院の僧侶をしているのだという。寺の名前をきけば、姉がかつて通っていた大学にほど近い場所だ。 「お坊さん?」
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