A子の話

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 そうだねぇ、今日はある女の子の話をしようか。  名前は……うん、A子でいいか。  ん? 名前がテキトウ過ぎるって?  いいんだよ。こういうのはテキトウで。  重要なのは中身なんだからさ。  昔、あるところにA子という女の子がいたんだ。  A子は勉強も運動もダメな子でね、いっつも馬鹿にされていた。  けどね、A子はいつも頑張っていた。  夜遅くまで起きて勉強したし、わからないことがあったら聞きに行ったし、上手い人のことをよく見て真似をしようとした。  でもね、成果は思ったようにでなかった。運動も勉強もダメなままだった。  そんなA子に皆は言うんだ。「もっと頑張りなさい」「努力が足りない」ってね。  A子は言われた通り頑張ろうとした。  けどね、頑張っても頑張っても成果が出なくて「こんなこと無駄じゃないか」と思えてきて、だんだんだんだん頑張れなくなってしまってね。  そしていつの間にか、A子は頑張り方がわからなくなってしまったんだ。
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