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「呼吸して、息止めないで」
「は……ああ…」
言われた通りにすれば異物感は徐々に無くなっていく。誠司さんの香りとキスで身体の底がジンジンとしていて、少しだけ甘い痺れが窄まりから伝わる。
「目を開けて、陸」
また言われた通り目を開ければ、乱れた髪の誠司さんが優しく微笑んでいて、胸の奥がギュッと掴まれるみたいな感覚に襲われて泣きそうになった。
大好き、この気持ちが誠司さんに届くといい。
「指、増やすよ。俺と目を合わせてて」
「あっ、んぁっ」
増やされた指はローションで滑りながら、その圧迫感が下肢から全身へと襲ってくる。
誠司さんは僕を真っ直ぐに見詰めていて、僕の反応を楽しんでいるのがわかった。
探るようにゆっくりと胎内の指が抽挿を繰り返し、湿った音がソコから卑猥な音を漏らす。
口を開けて目を合わせたままで誠司さんの指がクイッと胎内を刺激して、その刹那、声に出来ない甘い棘が胎内の奥深くに食い込んできた。
「待って、誠司さん!ああ…っやっ」
「大丈夫だよ、そのまま感じて」
とてもゆったりした話し方だった。
凪いだ海に浮かぶ小舟にでも乗ってるような、そんな囁きが僕の耳元に落とされる。
でも僕は今にも溺れてしまいそうになってて。
「やぁっ……あっ、アァッ!」
出口が見つからない迷路の中を、まるでぐるぐる回ってるみたいに凄く怖くて。
「誠司……さん!やっ、ああ…」
「このまま増やすからね」
自分の身体がドロドロに溶けてるんじゃないかって。
シーツを握りしめて手繰り寄せても足りない、泣いて首を振っても、甘い棘は深くなるばかりで出ていかない。
「俺のこと受け入れて」
神経が擦り切れてしまいそうな刺激、開き切った身体はもう痛みなんて感じない。
指が引き抜かれてソコに空虚を感じ、湿り気を帯びた誠司さんの怒張がぴたりと付く。
ローションを塗りたくられた孔に徐々に挿入される怒張は指とは違ってて、汗だくの身体を抱き寄せながらみっちりと重なった。
「ああ……あっ、あ」
痛いのか苦しいのか気持ちいいのか分からない。
ただとても、嬉しかった。
自分にこんな事起こるなんて思わなかったから、凄く嬉しくて誠司さんを抱きしめた。
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