咲いて、

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誠実って人それぞれだ。 きっと僕と誠司さんのものは違う。 早朝に目を覚めてしまった僕は壁に掛けられた時計を見ながら、まるで愛されてるみたいに僕を抱きしめて眠る誠司さんの体温を背中に感じていた。 ベッドから起き上がれば、また彼を待ってる日々が続く。それは今のこの状況を見ると嘘みたいに思えて、 本当に自分はこの人にとって体だけの関係なのかって。 「陸……起きてるの?」 「……はい」 「今日仕事?」 「そうです」 「今日また来れる?」 「え?」 でもこの薄い体にどんな価値がある? 地味だけで何の取り柄もない僕みたいな死にたがり、そんなものを快楽の相手だけにして楽しいとも思えない。だからきっと大丈夫、誠司さんはそんな人じゃない。 「もちろん会えます」 「良かった……ごめん、俺眠い」 「大丈夫、僕行きますね」 「気をつけて、夜待ってるから」 眠そうな誠司さんのこめかみにキスをしてベッドから降りると、今日一日は朝からとてもドキドキしていた。 一度自宅に戻りシャワーを浴びて、仕事の準備をして朝食もしっかり食べて、夜早く行きたいから早めに仕事場へと向かう。 みんなよりも早く着いてもタイムカードさえ切らなかったら大丈夫、こんな会社にサービスしてまで誠司さんとの約束が僕を動かしている。 早く時間が経ってほしい、その一心で仕事をした。嫌いな仕事だけど、誠司さんと会えると思うとやっぱり全然苦にならなかった。 また、抱きしめてもらえる。 また、独り占め出来る。 また、僕だけのものになる。 それが嬉しくてバカみたいにはしゃいでた。      
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