枯れ落ちる

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座敷に上がって海老炒飯の大盛りと五目炒飯、焼き餃子二人前とお子様ラーメンを注文した。 「ねぇ、生き別れた双子とかいない?」 「いない。さっきから何だよ?」 めんどくさそうにする芹澤さんはあの無愛想な表情に変わって僕を見る。 「あー、あれか、もしかしたら最初に会った人って別人なのかしら?みたいな感じだろ」 「別人なのかしら?なんて女の子みたいには思ってないけどね。でも不思議に思う時があって」 「んなもん、お互い様」 「あだー!」 二人で話してると花ちゃんは爪楊枝をひっくり返して遊びだし、店員に気付かれないうちに証拠隠滅で全部戻した。 天使は今度備え付けのティッシュを一枚ずつ引っ張り遊び始め、それも取り上げて場所を移す。可愛い目が今度はお水のコップに視線を移し、僕は咄嗟にコップをどかす。 「ダァ!ダァメ!」 それを見て暴れ始める花ちゃんを前に、早く食べて帰らなければと強く思った。 料理が出てから最初の五分くらいは順調だったけど、芹澤さんと話す暇もなく花ちゃんの様子を見ながら五目炒飯を掻き込んだ。 花ちゃんのラーメンは塩加減を薄くしてもらい、尚且つすぐに食べられるように氷も用意してもらってる。 でも食べ切れるはずもなく、たった五分座って食べるともう立ち上がり何処か遠くへ冒険しようとする。 「もう食べた」 「早く行こう」 「うん」 芹澤さんが財布を出す前に花ちゃんを抱っこさせて僕が会計を済ませ、ぶつぶつ言ってる芹澤さんには、本当はこれだけじゃ足りないくらいお世話になってる。 二回連続のお風呂、寝床、食事、大人になってからこれだけ人にしてもらった事は今まで一度も無い。 「ごちそうさま。帰り運転する?」 「えっ!いいの?」 「なんで?いいよ」 後部座席に乗る芹澤さんと花ちゃん、そして運転席に座るとシートを合わせて初めてのベンツ。右ハンドルのSUVは目線も高くて周りも見えやすい、久しぶりのMT車は教習所以来だ。 「行くよー!」 発進から少し戸惑ったがギアチェンジも上手くいって、体で覚えたものは本当に何年経っても忘れないものなんだって納得してしまった。 少し遠回りしようと言われてドライブを楽しむと、途中でまた花ちゃんは我慢の限界を迎えてコンビニに寄る。 駐車場に車を停めるのも意外とすんなり出来てしまい、社用車なんかよりもずっと大きいのに運転のしやすさで言ったらベンツの圧勝だった。
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