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肋骨の上を温かな手が這う。柔らかみの無い身体が特別なものにでもなったように優しく、でも目の前の芹澤さんは優しい愛撫をするような男には到底見えない。
こんな表情で見詰められて夏美さんは怖くなかったんだろうかって、そんな事まで考えてしまう。
「違う事考えてる?」
芹澤さんは僕の反応に不満らしく、薄手のトレーナーが捲り上げられ、晒される肌に切れ長の目が落ちた。ただ見られているだけなのに熱くなって、凄くそこが熱くて。
「そんな余裕あるんだ?」
余裕なんて無いのに、胸の突起を指先で軽く潰し独り言みたいに話す。
「ああ……」
甘い声が洩れるとまた悪戯に脇腹に指を這わせて、肌の表面をスッと撫でていく。
「んっ……や、芹、澤さんっ」
突然ズボンの上から昂りを握られ、羞恥と甘い痺れに体をくねらせた。
芹澤さんの嘲笑に全身が熱くなって、握られたソコは意志とは関係なく更に硬く大きくなる。
自分の肉体の反応が余計に羞恥心を煽り、ゆっくりと上下に動く手首を掴んだ。
「やだっ……」
「本気で言ってる?」
硬くなったソコは確かに喜んでた。それを直に感じてる芹澤さんには嘘だと分かるはずで、冷ややかな瞳が更にスッと細められる。
「本気でやめて欲しい?」
その表情を見て掴んでた手の力を失ってしまう。僕の反応に芹澤さんは唇の片端を上げて、また動き始める。布越しの弱い快感に汗がじんわりと滲んでくる。
「あ…….ん、う」
「エロい顔」
自分がどんな顔をしてるのかなんて分からない、ただぼんやりとだらしない顔だろうなとは思ったけれど。芹澤さんを見ながら首を傾げると、彼の喉仏がゴクリと動いた。
唇を噛まれ、割って差し込まれた舌が僕のに絡まり蹂躙される。
そのまま下着の中に入ってきた手は、直接僕のモノを扱き始め、先端から零れた蜜が芹澤さんの手の中で湿った音を洩らしてた。
「んん……あっ、うんん…」
苦しくてそれでいて甘美な刺激に切なくなって、ソコから蕩けていく感覚に奥が痛いくらいに疼く。
「ハァ……ん、」
「このまま抜いてやる」
「え、なんで、しないの」
「ローションも無いし、ゴムも無い」
「そんなのっ……」
うるさいとでも言うように芹澤さんの舌がまた絡まり、舌を舐め回された。心に広がるのは、これが遊びだからという苦しい思い。
「じゃあ尚更、先に出せよ」
耳朶に噛み付いた彼の吐息が僕を簡単に昂らせ、激しくなる手の感触に涙が滲んでくる。
「ああぁっ!」
全身から一点に集中する快楽に抗いようもなくて、芹澤さんの手の中に白濁を出していた。
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