枯れ落ちる

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声にも出来ない突然の快楽に思考は追いつけないでいた。 甘い痺れに気を逸らしていると、ゆっくりと始まる律動に神経が擦り切れそうな快感がまた襲う。 「待って……お願いっ」 「俺がいつも言う事聞くように思ってんのかよ」 苛立った声に芹澤さんを見れば、彼もまた僕と同じように快楽の中にいる。その色気に僕の中が彼を締め付け、芹澤さんは眉を寄せ低い吐息を洩らす。 「こっちは久しぶりなんだよ、陸も気持ちいいんだろ?」 低い声は有無を言わせず胎内を味わってる。 「いい、から……だから…アッ、待って」 「無理だ」 芹澤さんは僕の首筋に顔を埋め、腰を叩きつけては荒い呼吸を落とし揺さぶってくる。 「ひぅっ…あっ、あっ」 汗で濡れた肌がぶつかるたびに狂ってしまいそうで、痺れた手で抱きつくのが精一杯。 浅い場所を楽しんでは奥深くまで挿入されたり、好きなように動かれても甘いだけで痛みが無かった。 声が掠れるまで深く交わって芹澤さんは体を起こして僕を見下ろす。 鋭い目も肩で呼吸する姿も色気に溢れてて、僕はこんな男に抱かれているんだって、恥ずかしいくらいに奥がキュッと締まった。 「クッ、今のはきたね」 「せ…ざわさん、もう」 「ああ、分かってる」 慈しむように微笑む芹澤さんは僕の唇にキスをして、指を絡ませ強く握った。 見つめ合いながら動き始め、また始まる律動に意識が遠くへ持ってかれそうになる。 自分の体を求められる悦びを初めて知った気がする。 芹澤さんの欲望が遠慮なく貫いてきて、刺激に顎を上げれば首筋に噛みつかれる。痛みを感じてもすぐにねっとり舐められて、この人は狼かもなんて。 激しくなる動きに目を閉じて、指を絡ませたまま僕と芹澤さんは同時に果てた。 散々甘やかされて身体まで洗ってもらい、僕と芹澤さんは花ちゃんの隣にこっそりと戻る。セミダブルのベットに三人は流石にキツかったけど、花ちゃんを真ん中にしてくっついて眠るのはとても幸せだ。 でもふと思う、芹澤さんと誠司さんの違いは何かって。 この関係は僕が欲情したから始まったにせよ、芹澤さんはどんな思いを向けてくれてるんだろうかって。 一度そう考えてしまうとなかなか寝付けなくて、早々に眠ってしまった芹澤さんの顔を見る。 淡い想いが心の中に広がって、それは徐々に鮮明な想いに変わっていく。 信じられないよな、これって誰が聞いても理解してくれない。それは違うって簡単に言われそうだ。 だって自分でも信じられないんだから。  
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