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禁句だったらしい
13才になった頃から、ダイアナはやたらと城に呼ばれるようになった。
今日は国王様が『クラブも一緒に…』というので来たわけなんだけども……。
「ダイアナ、今日のその服は、似合ってなくもないぞ」
「ありがとうございます」
私の存在はもはや空気。
ここに私はいる意味があるの?女の子だって気がつかれたら殺されちゃうし、帰りたいんだけど。
「そうだ、今日はルカをしないか?」
「はい」
ルカ…というのは、チェスのようなもの。日本で言えば将棋。
「チェックメイト」
「えー!また負けちゃったぁ」
「ダイアナが弱いからだよ」
もう一度言おう。私ってここにいる意味はあるの?無いよね?
持ってきた本も読み終わっちゃったし……。
「ねぇ、クラブお兄様」
「何?ダイアナ」
この子、私が声変わりをしていないと怪しまれる年齢になってきてるって、解らないのかな。あまり話かけてこないで欲しいのに。
「お兄様はルカがお得意でしょう?ゲイリー様と勝負して、ダイアナのかたきをとってください」
「……そうだね」
この子にきちんと教えておきなさいよ。私と王子が接触しないように気を付けろって。
ゲームが始まったけど、余裕で勝てそう。けど、負けないと。わがまま王子のご機嫌をそこねちゃ駄目だしね!
私は部屋でやる事がなさすぎて、ずっと1人でルカをして遊んでいたからプロ級なんだよね。
「殿下はお強いですね」
「……」
何で黙ってるの?
「お前、わざと負けただろ」
「そんな事はございません」
わざと負けた事に気が付いくって事は、そこまで弱くもないんだ。
「次は何か賭けて勝負する」
「はい」
「勝てば、何でも1つ言う事を聞く」
「はい、お相手致します」
一回くらい勝ってもいいよね。今が唯一のチャンスだし。
『マリアンヌ』について聞くわ。
余裕で勝てるんだけど、競り合ってギリギリ勝ちましたってゲームにした。機嫌悪くされるのも困るしね。
「お兄様すごーい!!」
そういうのいらないから。この子、もっと考えようよ。
「では、願いを聞いてくださいますか?」
「ああ」
「陛下に『マリアンヌ』と、そう言って下さいませんか」
「マリアンヌ?誰だ、それは」
「陛下ならご存じだと思いますので、聞いてみてください」
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