禁句だったらしい

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 どんなにマリアンヌの事を調べても名前1つ出てこない、ネーゼの前国王殺害の真相が書かれていないのもおかしいわ。  男として生きる、結婚も家督を継ぐこともなく私の人生終わるんだし、マリアンヌの事くらい知ってもいいよね。  こんな事を聞かなければ良かった…と、後悔したのはその2日後だった。  いつものように、部屋で1人夕ご飯。  来客もないのに、何で私は1人ご飯なの?もう、存在自体を消しにかかってるよね。 パンッパンッパンッ 「キャーっ!」 「うわぁぁー!」 「おかーさまぁー!!」  お父様とお母様とダイアナ、他にも悲鳴が沢山聞こえてきた。私はその場所に向かおうとしたけど、料理長のメイスンが私を抱えて邸から出た。 「メイスンっ!!何があったの?」 「――っ」 「メイスンっっ!止まりなさい!!」 「……っ」  私を抱えてメイスンが向かった先は、近くにある教会だった。  その窓から赤く明るい炎と、真っ黒な煙が出てるのが見える。 「お家が燃えてるの?」 「お嬢様……」 「お父様とお母様は?ダイアナや邸の皆は?逃げたの?」 「……」  さっきのは、きっと銃声だったんだ。  それはわかった。  昔、日本で殺された時、1番最後に殺された私の耳に、同じ音が残ってる。  ミラー伯爵家は惨殺されて、邸に火をつけられた。私が日本で体験した事と、同じような事が起きた。  私は料理長のメイスンが連れ出してくれたから助かった。 ・・・・  あれから5年、私はメイスンと隣国マヨン王国で元気に暮らしている。  メイスンはあの邸で私と仲良くしてくれた唯一の人だった。親よりもずっと。きっと、私を助けに行く人はいないと思って、1番に駆けつけてくれたんだと思う。  私にとって、この世界で1番優しい人よ。  今は私は18才、無事に生きてる。女の子として。
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