序章

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序章

蝉の鳴き声が響き渡る夏の一番暑い時間に、とある体育館で大きな発表会らしきものがあるらしい。でも、そろそろ終わってしまうみたいだった。 「真っ直ぐな瞳の奥にも、どこか小さな闇は必ず存在する。犯罪者はその闇が他人よりも少し大きかった。それは素晴らしいことで、罰せられることではない。しかし、犯した罪の重さで全てが決まってしまう法律。子供だけの無邪気で純粋な心だけで生きていくのは簡単なことではない。だから大人という存在がある。こんなことを考えている者も、また大人で、子供にはこんなことを考えたところで大人に見向きをされないまま消されていく。こうした大人に囲まれて育つ者が、無邪気で純粋な心を持っていられるわけがない。子供のくせに大人らしい、大人のくせに子供らしい。人間のよく分からない仕組みの一つだ。 しかし、先程言った"こんなことを考えている者も、また大人"それは嘘だ。こんなくだらないことを考えているのはまだ人生というものを十三年しか体験していない中学生だ。僕も何故こんな思考に至ってしまったのかまるで分からない。だから、分からないことに無理矢理にでも理由を付ける。 ___これは、こんな大人たちのせいだ、と。」
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