第三章

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今ある荷物を少し整理した後、僕は冷たいシャワーを浴びていた。シャワーに濡れながら傷に滲みると痛むからと随分前に彼からもらった水に濡れても剥がれないテープで包帯を巻いた。 彼は今どうしているのだろう、そんなことを考えながら体を拭いた。下着だけで二階まで上がって、畳まれてある白いTシャツを着てジーパンを履いた。リビングに行くとグレーのフードのない上着が椅子に掛かってあった。しばらく動かしていないからだろうか、埃が積もっていた。埃を払うとグレーだったはずの上着が少し黒に近づいた。少しして、僕はその上着をまた椅子に掛けた。そして昨日も着ていた黒いパーカーを羽織り、床に落ちていた黒いキャップを被った。少しのお金の入った財布をパーカーのポケットに入れて、また外に出た。 外には沢山の大人がいた。まるで僕を囲むかのように。何があったのかよく分からないまま目の前にいる大人の目を見つめた。すると、一瞬瞳に闇が見えた。 「黒木竜也君だよね、ちょっと来てもらってもいい?」 彼もよく言っていた黒木竜也とは僕のことなのだろうか。目の前にいる大人をよく見ると昨晩の警察官だった。僕は小さく首を縦に振ると、目の前の大人は周りにいた他人を避けて何処かへ歩いていった。 しばらく歩くと遠くに警察署が見えてきた。昨晩僕がいたところだった。大人の他人の後ろを着いて行くと警察署のガラス扉を押して刑事らしきあの他人に着いていけと言われた。着いて行くと何も書かれていない扉に入っていった。すると急に刑事らしき他人は 「君の友達であろう子が、今日急に亡くなった」 一瞬何を言っているのかが分からなかった。彼が死んだ、ということなのか。 僕は、今一体何と言った。彼は死ぬわけがない、彼の瞳には闇もあったが光もあったはずなのに。
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