第三章

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彼の死を聞いて、僕は真っ暗なリビングに座り込み考えた。もう一時間以上座って考えている。すると、ふとテレビを付けた。もう真夜中で月の明かりで照らされている部屋はまるで暗くて目が悪くなりそうだった。テレビではニュースと深夜らしい、少し大人向けの番組がやっていた。僕はニュースを見た。すると、この前の警察官が不審死したと言う。そのニュースを見て、僕はあることに気付いた。 今まで死んだ人の瞳の奥には闇があった、ということに。 しかし、その共通点が何かに繋がっているのかは分からなかった。もしかしたら、僕の瞳の奥にも闇があるのかもしれない。そう思ったが、瞳の闇は本人には見えない。それに僕以外の人に瞳の闇が見えるのかも分からない。テレビのチャンネルを変えて少し眠い目を擦りながら眺めていると、とある都市伝説番組が放送されていた。 真っ暗な部屋にスポットライトで照らされている男の他人は言った。 「この世は、もう死者の世界なのかもしれない」 僕は何かに気付いた。今までの瞳に闇がある他人は、本当は死んだんじゃない。ここは死者の世界、だから生者の世界に行くためにこの世から消えたのではないか。そう考えついた。きっと生者の世界には大きな闇が必要で、闇のない他人はまだ生者の世界に行けずにいる。そう考えると今までいた瞳に闇がある他人が死んだ、いや、消えたことに理由がつく。闇のある他人はきっと生者の世界では当たり前なんだ。
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