第二章

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気が付くと真っ白な壁に黒い低い机がある小さな部屋にいた。僕は黒いソファーに寝転がり、白い薄いタオルを掛けられていた。起き上がり辺りを見渡すと体付きの良い警察官の服を着た大人が座って寝ていた。きっと僕を見張っていたのだろう。僕はそっとソファーから降りると机の上に置かれていた携帯を持ってすぐにこの部屋を出て行こうとした。しかし、刑事らしき人に話しかけられた。 「君の言っていた犯人というのは、芳川宙良君のことかな?」 芳川宙良、確かそれが彼の名前だったはず。 「はい、多分」 会いに行くかい?と刑事らしき人は僕を案内してくれた。 しばらく刑事らしき人の後ろについて歩いていると扉に"取り調べ室"と書かれた部屋の扉を開けた。すると彼が真ん中の椅子に座っていた。彼は僕の存在に気付くといつもの笑顔で言った。 「あれ、竜也どうしたの?」 やはりよく分からないことを言っている。でも何でここにいるの、と聞いているのだろう。多分倒れた、刑事らしき人の方を見ながら言った。すると彼は心配そうな顔で僕の方を見た。気にしないで、とだけ言ってまた来る、そう言って僕はあの部屋を出て家に帰っていった。
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