上田拓実サイド

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上田拓実サイド

 俺は今、二人の幼馴染と密室に閉じ込められている。  普通ならパニックにでもなるところかもしれないが、気心の知れた二人がいる、というのと、その二人が落ち着いた様子、というのに助けられ、割と冷静だ。  俺の近くでスマホをみたり、辺りをうろうろしたりと落ち着きがないのが、大山ダイキ。俺が困っているときは何も言わずに手を貸してくれる良いやつだ。  そして、少し遠くの方でスマホをいじっているのが、望月美緒。前に、俺とダイキが大喧嘩した時、俺達以上に俺達の事を心配してくれた。  しかし、気まずい。  前々から感じていたが、この二人は多分おそらく付き合っている。  ……ほらやっぱり!目ぇそらしたもん!目ぇあったのにそらしたもん!!意味深なことすんなよ!!  どうしよう気まずい。本当に気まずい。  気心知れた幼馴染は一緒だ。  だが、奴らはカップルなのだ(おそらく)。  ということは、俺達はもはや仲のいい友達同士、というひとまとまりにはできない。  これからは、いや、もっと前からだったのかもしれないが、恋人同士と俺、って分けられる事になる。  つまり、「気心の知れた幼馴染二人」が「一つのカップル」となる。  これはまずい。  最初の方は安心感に包み込まれていたが、今は冷たい海の中でクラゲに囲まれているようだ。  もはや密室に閉じ込められているなどどうでもいい。  直にいちゃつきだすかもしれないこいつらを直視したくない。  ああ早くそのスマホで助けを呼んでくれ、美緒。そしてさっきから落ち着きのないダイキ。自慢の怪力でこのドアぶっ飛ばしてくれ。  二人の事がまともに見られなくなった俺が、下を向いていると、  突然    「好きだ。」  というダイキの声が聞こえた。    ………ウソだろ?俺がいんのに?告白?今俺達どういう状況だ?閉じ込められてんだぞ!!  と、頭をめぐる思考達。  もう吹っ切れて俺は、目の前で繰り広げられているであろう俺に不利益なわちゃわちゃを見届けるために勢いよく顔を上げた。    ……が、実際におきていたのはそのようなわちゃわちゃでは無く。シーンとしたもので。  更に、美緒へ向けられたものだと思っていた告白は、    俺に向けられていた。    めっちゃ目ぇあう。と思いながら、あまりの衝撃に、俺は初めて気を失った。                        
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