大山ダイキサイド

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大山ダイキサイド

 時は十年前に遡る。  オレがまだ7歳の頃の話だ。  その日、小学生だった俺は幼馴染の拓実と美緒と一緒に下校していたのだが、少し前を歩く拓実に追いつこうと駆け足になった瞬間、オレと拓実の間を通り過ぎようとした自転車がオレをかすめて通っていった。  あの時、拓実がさり気なく腕を引っ張って助けてくれたのだ。  「危なかったね、ダイキくん。」と笑顔で言う拓実。  オレはその日、初めて恋をした。  今でも覚えている。とても暑い日で、でもそれ以上に、あいつの笑顔が眩しくって。  それから、この気持ちを伝えられないまま今に至る。  しかし、もう一生このままは嫌だけど、まあ、しょうがないとのらりくらり生きていたら、もう一人の幼馴染、美緒にバレた。  正直めちゃくちゃビビったし引かれると思ったのに、やけにあっさり「協力する。」と言われた。    バレたのは昨日のことだ。          
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