望月美緒サイド

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望月美緒サイド

 幼馴染が幼馴染のことを好きだと言っていた。  前々からそうかなー?だといいなー。とは思っていたけれど、まさかまさかである。    実は私、根っからの腐女子でして。幼馴染カプうまうまと妄想でハッスルしていたら、本当にまさかまさかで。  いやー、二人の仲を取り持ったり、好きになっちゃわないかなーと陰ながら応援していた努力が報われたよ……。  それにしても、決定的瞬間を目撃するのがおそすぎたと思う。  「ぐあー!もっと早くに気が付きたかったー!!」という腐女子の切実な思いがそのままパワーとなり、  「協力する。」  などと口走ってしまった。  これが、昨日のこと。  そして、まあ言ってしまったものはしょうがない、と告白のための算段を考えたのが今日のこと。  朝一番で幼馴染に考えた内容を送った。  その内容とは……    「おはようダイキ!昨日、協力するって言ったことについてだけど、二人で密室に閉じ込められたらどうかな?もちろん、本当に閉じ込められる訳じゃなくて、あくまでもフリだけど。詳しく説明するね。あの、うさぎ小屋の隣にある体育倉庫って分かるかな?あそこって放課後は特にだけど、いつでも人通りが少ないの。しかも、結構暗くて怖い。鍵は適当に理由つけて借りるとして、拓実のことはダイキが、「ついてきて」だとか言って連れてきてもらって、二人が体育倉庫の中に入ったタイミングで私が鍵を閉める。これで、まるで密室に閉じ込められたかのような演出ができるってわけ。そこには二人だけしかいないから、告白だろうとわちゃわちゃだろうと何でもできるでしょ?密室作戦結構いいんじゃない?ほら、つり橋効果とかも期待できるかもよ。余計なお世話だったらごめんだけど、この作戦どうかな?」    と、いうもの。  そして今に至るんだけど、密室に二人きりではなく、なぜ私もいるのか。  それは、そもそも体育倉庫の場所が二人とも分からなかったために起こった。  分からなかったとしても、そこらへんにいる先生に訊いたりすればいいはずなのに。焦ったダイキが何故か私に連絡してしまい、あれよあれよという間に私もついていくことになってしまったのだ。  取り敢えずダイキには、「なんとかしてドアが開かないようにするんだ!」とメールを送り、結局、ドアを押さえるという原始的な方法で密室をつくり出すことになった。  現在密室(人為的)にいる訳だけど、まあ私もいるし、今回は告白見送りかな。と思っていた。  が、奴はそんな事でへこたれない。  なんで今まで告白できなかったん?ってくらい堂々と、「好きだ。」というダイキの姿。夢にまで見た光景が、目の前で繰り広げられる様を目撃した私。  その瞬間の拓実の表情をバッチリ見たかったのに、そこで私は意識を手放してしまった。  腐女子、人生最大のうっかりである。                    
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