1 平穏な日々

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「伊野田さん、で合ってる?」 ひとつ前の席にずれた彼が後ろを向いて話しかけてきた。 「う、うん。伊野田茉央です」 「なんで敬語なの?」 「え、あ、いや、ごめん…」 「怒ってないよ?…あ、俺は石橋奏明。元中いなくて心細いんだよね…」 「私も…同じ中学の人、いるにはいるけど、喋ったことない人ばっかで」 コミュ障なりにきちんと噛み合った会話が出来ていた…と思う。 「茉央って、呼んでもいい?」 「うん…いいよ」 「奏明って、呼んでよ」 「奏明くん…?」 「やばっ、照れる」 「えぇ、なんで??」 良かった。友達できた…。
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