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「なんで泣いてるの?」
「うぅ…」
「茉央…ごめんな」
その声が聞こえて私の視界は真っ暗になり、悠吾の匂いでいっぱいになった。抱きしめられたと気づくにはそう時間はかからなかった。
恋人も幼なじみも失った私は、必要以上に悠吾を求めてしまっていたみたいで、申し訳なくなってパッと悠吾の背中に回していた手を離した。
「何があったか知らないけどさ…その、とりあえず、うちにおいで?」
「……」
言われるがまま、悠吾の家へとノコノコ着いてきた。何回も何回も来たことがあるし、見たことある部屋なのに、今日はいつもと雰囲気が違う気がした。
「足伸ばせよ。何回もきてんのに、緊張してるとか言うなよ」
「…ありがと」
「あと、これ食えよ。さっきコンビニで買ったんだ」
「メロンパン…?悠吾が食べるためじゃないの?」
「あー、いや。メロンパンも好きなやつに食べられる方が嬉しいだろ…」
ちゃんと、好み覚えててくれたんだ。
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