1 平穏な日々

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「なんで泣いてるの?」 「うぅ…」 「茉央…ごめんな」 その声が聞こえて私の視界は真っ暗になり、悠吾の匂いでいっぱいになった。抱きしめられたと気づくにはそう時間はかからなかった。 恋人も幼なじみも失った私は、必要以上に悠吾を求めてしまっていたみたいで、申し訳なくなってパッと悠吾の背中に回していた手を離した。 「何があったか知らないけどさ…その、とりあえず、うちにおいで?」 「……」 言われるがまま、悠吾の家へとノコノコ着いてきた。何回も何回も来たことがあるし、見たことある部屋なのに、今日はいつもと雰囲気が違う気がした。 「足伸ばせよ。何回もきてんのに、緊張してるとか言うなよ」 「…ありがと」 「あと、これ食えよ。さっきコンビニで買ったんだ」 「メロンパン…?悠吾が食べるためじゃないの?」 「あー、いや。メロンパンも好きなやつに食べられる方が嬉しいだろ…」 ちゃんと、好み覚えててくれたんだ。
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