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「止まれ!」
ビクリと女が肩を震わせる。
背後からは若い男の声と足音がよく響いた。
「動くな!動くと撃つぞ!」
荒ぶる呼吸を落ち着かせつつ、女は振り向く。
首元まで覆った防刃スーツに弾倉入りベスト、ヘルメットの下はマスクにゴーグルで顔を覆っている。
男は一人のようだったがこれほどの重装備のうえにこちらに銃口を向けている。
女は一度笑みを含むと胸元の赤子に哀れみの眼差しを向けた。
「そのまま、ゆっくりこちらを向くんだ」
声の感じからしてまだ成人していないのではないか
よく響く声の主はじりじりと距離を詰めながら指示を出す。
「こっちを向いて、その場に座って!」
女は振り向くと男を見据え赤子を庇うように抱き締めた。
「赤ん坊がいるのよ!そんなもの向けないで!」
「膝をついて、子供を床に」
「床にですって!?
こんなところに置けるわけないじゃない!
この子は生まれたばかりなのよ、冷たい上に不衛生でしょ」
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