願いごと

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 さっきからすぐ近くをフェロモン系の女がうろうろしてる。  ふうわりした髪、ダークレッドのシンプルなワンピース。身体にぴったりしていて……胸がもっちり、谷間ばっちり。  身体に自信があるのだろうし、自信を持って当然の身体だ。一人でいるくせに、声をかけてくる男たちへの対応はめっちゃ塩。 「彼女もそうね。今日が勝負って感じでここにへばりついてる。私と同じことするなんて、なかなかやるわね」  フン。男連れじゃないだけアナタよりまともだろ。  里葉さんと彼がうまくいったら彼女はフリーなわけだから、声かけてみようかな、などと考えながら、仕方なく飲む。っていうか、もう飽きたぞ。 「ちょっと踊ってくる。しばらく一人でもいいでしょ」と言ってホールに出た。  ……が、出てはみたものの、こういう雰囲気、実は苦手だ。  セフレ探しはアプリが主。あとは日常の中でいかにも安全そうな、クールそうな相手を探す。だからクラブでどころか、こういうナンパ自体が未体験だ。  まるきりの初対面でいきなりホテルか。どうやって連れて行くんだろう。それで里葉さんに追っかけをさせるんだから、ツワモノだなあ、その男。  などと考えつつ、俺自身は誰に声をかけるでもなくうろうろと身体を泳がせるだけで戻った。  
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