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出会えたけれど
戻ると状況が変わっていた。ダークレッドの彼女が背の高い男にしなだれかかっている。……ということは、あれが、彼、か? 里葉さんは出遅れてしまったのだろうか。
「来たんですか、相手」
「うう、、視力で負けた……どっちの方角見てたかっていう運かもしれない。あの女、しばらくいなくなったと思ったら、彼と戻ってきたのよ。悔しい」
俺は男を見た。
背が高い。190に近いかもしれない。黒のスリムパンツに、ざっくりと着たモスグリーンのシャツ。腰はそれほど太くないが身長相応、肩幅があり、深めに開いた胸元の両脇には胸筋が下から張りを与えている。いい身体だ。
全体から「俺、相当遊んでるから。ガチな人来ないでよね」とでもいうような色欲オーラが漂っている。
なのになぜだろう、チャラいという言葉が似合わない。
上に乗ってる顔。これがヤバイ。目が凄い。
黒目勝ちで切れ長の目。垂れ目ほどではないが落ち着いた目尻に、妙に色気がある。
きれいなラインで長めに伸びる眉。少しごついあごとその下の首の筋。どちらかというと色白の肌に、厚めの下唇の赤が映える。
美しい? でもこの目力は、かっこいい? どの言葉にもハマるし、どの言葉でも足りない気がする。要するに、男の俺から見ても、顔も身体も異常にいい男ということだ。
でも里葉さんの評価はビジュアルじゃない。
これでアレもいいってことか。むかつくほどに最強だ。
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