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(1)11月の枯れた紫陽花
それは紫陽花も枯れた寒い日のことだった。僕は郊外に流れる小さな川辺りの前に立っていた。川幅は狭く底も浅いが、雨が降ると上流からの大量の水が一気に流れ氾濫を起こすこともある。普段大人しそうで優しい川も自身の容量を超える時、どんな姿でいるかは想像出来ない。
急ぎすぎた粉雪が舞い降り息切れる外気に心はむせ返る。手に握る紙はキミから届いた手紙。数ヶ月前に別れた彼女だ。僕から別れは告げたが本当に振られたのはこちらだろう。キミの庭が懐かしい。枯れた紫陽花を焚べた薪の炎に照らされ頭の中で鮮やかに色を戻す。
続
(紫陽花には毒があるので薪に使用しないようにしましょう。
小説では話し上の展開で書いています。)
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