Prologue キスは忠告

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「“俺”の意志は変わりませんが、あなたに判断を委ねたいと思った気持ちは本当です。だから――」  後退していくうちに、すぐに誰かのデスクがコツンと腰にぶつかって行き場を失う。  それをいいことに、背後のデスクに両手をついて、私をしなやかな腕の檻に囲い、さらに身を寄せてくる彼。 「――後悔のないよう、よく考えてください――」  ふだん冷静沈着で、他人に関心のなさそうな、彼の突然の行動に驚き頭が働かない。 「――あなたの好きな秘書室の悪魔(おとこ)は、あなたを手籠めにしようと目論んでるような、とっても悪い奴かもしれないですからね――」  その瞬間、長い腕がまっすぐこちらへ伸びてきて――  うなじを引き寄せられると同時に、彼の唇は私の唇を深く深く塞いでいた。
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