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「不本意とはいえ、私情に巻き込んでしまいそうになったのは事実です。無意味なことに貴重な休日を割くほど無駄なことはありません。
不安にさせましたね……? いくらボスのためとはいえ、不要な心労をかけたでしょう。」
とても早口で、淡々としていて、言葉を理解するまでに少し時間がかかった、けれど。
え、ちょっと待って……。
『会長がくださったご縁』と言っちゃったから、私まで不本意なんだと勘違いしてる……?
――だとしたら困る。
「私は――」
「――まぁ、とにかく」
私を留め、島田さんは席を立ち、もってきたファイルや資料をテキパキと腕に回収しながら、淡々と話をまとめていく。
「私の方も望んでいないし、会長の性格ならあなたに“無理に”とは見合いを勧めなかったはずです。だから、あなたはこれ以上この件を気にかける必要も固執する理由もない。従順な会長秘書であるあなたには苦かもしれませんが、今回に関してはボスへの気遣いはいりません。後は私が処理しますので、大人しく手を引いて下さい」
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