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──高校時代もよくこうして二人は夜を明かした。  母親を亡くして一人、家で過ごす烈己を放っておけずに、江が部屋に訪れては夜中までとめどなく話し続けた。学校でのくだらない笑い話から社会に出たら何の仕事がしたいか、将来はどうなりたいか、番が出来たらどうなるのか、子供を産むとしたら──  お互い同い年で同じΩである二人は、いつまでも話に尽きることがなかった。  ハタチの誕生日を迎えた時、烈己は早速見合いを決めた。二十歳以上であることが、行政の見合いに参加するためのΩの最低条件だったからだ。  その時から江は、親友がすぐにそばからいなくなるのを覚悟した。  周りからしたら大袈裟に思えるかもしれないが、それくらい二人は濃密な親友生活を何年も過ごしてきたのだ。 「俺は死ぬまで俺だし、変わらずに江の親友でいるつもりだから。覚悟しろよ?」  ニンマリと烈己は大きく笑って江の両の頬を軽く摘んだ。 「うん、俺もそのつもり。遠くに住んだらキレるからね」 「えー、住むところは好きに選ばせろよ〜」 「ダメ。近くないと烈己が旦那と喧嘩した時に駆け込む場所がなくなるでしょ」 「ははっ、なるほど。それは大事かも」 「でしょ〜? うちには腕の良いシェフもおりますので〜」 「確かに、それは捨てがたい」 「あっ、シェフの話したらお腹空いてたの思い出した! 甘いもの食べたいっ」 「もうー、そこはフツー家に残してきた恋人を恋しく思うんじゃないんかよ」  肩をガクリと落とした烈己は、家で淋しく待っているであろう忠犬彼氏を憐れみながら大きくため息を漏らした。
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