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 烈己は自分を見下ろす大澄の横髪をすくい、ジッとその顔を見つめた。 「どうしたの?」 「初めて会った時……もっとボサボサな頭してたのになぁ……って」 「ああ……、そうだね」  大澄は烈己の手を気にかけることなく首筋に唇を這わせ少しきつめに吸い付いた。 「んっ、大澄さんだめ、跡になったら恥ずかしい」 「なんで?」 「なんでってなんだよっ、じゃあ俺も大澄さんに着けるけどいいんだねっ!」  烈己は頬を赤くしながら大澄を上目遣いに睨む。 「ん〜〜? 首から下なら良いよ」 「理不尽っ! 何なのそれっ、人にしておいて自分は嫌とか殴るよっ」 「烈己ちゃんっ、もう鋭い右パンチが俺の腕に入ってるぅ!」 「……ああ、ごめん、無意識に……」  烈己は自分の握り拳を見つめ、自分自身に驚いている様子だった。 「うう‪‪う……うちのお姫様凶暴だよぅ〜」 「凶暴にもなるよ。小さい頃に言われたろ? 自分がされて嫌なことは人にしちゃいけませんって」 「人を殴ってはいけませんのが大切な気がします、先生〜」 「……確かに」 「納得すんのかーい、って烈己ちゃん! 進まない! 早くしないと大澄さん下半身が爆発しちゃう!」 「だって、裸見られるの恥ずかしいのっ!」 「可愛い! 100点!!」 「もう馬鹿っ!」  鼻の頭を赤くして泣きそうになっている烈己の唇を塞いで、大澄は烈己がそれ以上否定の言葉を紡ぐのをやめさせた。  刺激に弱い烈己は、あっという間に大澄のキスに力を無くして、胸を弄られるだけで唇を噛んでは肩を揺らした。  大澄に捲られた服を戻すように掴んだ烈己の手を簡単にかわしてシャツを脱がし、大澄は我が物顔で烈己の鎖骨からゆっくりと唇を這わせ、胸の尖りを舌で何度も転がす。 「いたぁい、噛まないで……」 「噛んでないよ、烈己が敏感すぎるんだって」 「……っ、俺のせいなの?」 「俺のせいです、もう1000%俺のせいです」  烈己は怯えてしまったのか、大きな瞳は涙ですっかり濡れていて、この場で誰が悪党かを問うのはあまりにも愚問だった。  目を閉じて眉根を寄せた大澄が何かを思案したときに烈己が胸をちょんと、つついた。  大澄が目を開くと烈己はきつく結んでいた唇をゆっくり開いた。 「ごめんなさい……」 「えっ、なに? だめ? もう無理?」 「そうじゃなくて……こんなのやだよね、こんな……幼くて、恥ずかしがって……嫌とかダメとかばっかり……萎える……よね」 「え? そうなの? 萌えるけど。俺の脳味噌の回路間違ってた?」  不安そうに泣きはじめてしまった烈己を見ていられなくて、大澄は冗談でかわすと無意識にその細い体を抱きしめていた。 「泣かないでよ烈己、俺烈己がテクってノリノリな方が多分ショックデカいと思うから」 「……ほんとは?」 「いや、そんな烈己も萌えるか。てか、どんな烈己も好きってこと」  体を少し離して大澄は緩やかな笑みを浮かべて烈己を見つめた。  赤く染まった頬を撫でて、手のひらで涙を拭って鼻の先にキスをする。そのまま唇をゆっくり味わうと烈己は落ち着いたのか小さくため息を漏らして睫毛を伏せた。 「いいだろ、烈己は烈己で。俺が好きな烈己は世界に一人しかいないんだから、誰と比べてるの? それに、もし俺が童貞だったら烈己は嫌いになってたの?」 「そんなのでならない……」 「じゃあおんなじ。俺もならない。そして何回も言うけど萌えるから」 「もう……」拗ねたように烈己の頬が膨らみ、眉が上げる。 「ふふ、可愛い顔」 「ありがと、大澄さん……」  烈己は大澄の胸に自ら顔をうずめてその体に抱きついた。 「んー? なにが?」 「全部。大澄さんが優しくて大人で、俺をすごく大切にしてくれて」 「烈己ちゃん、このあと色々やり辛くなるから、それくらいにしとこうか」 「むにゃむにゃ……俺なんだかねむいなぁ……」 「じゃあ烈己は寝てていいよっ、俺一人でするからっ」 「やっ、お尻つままないでっ」 「もう無理、聞けませーん」  烈己が緊張して固くならないように、大澄はわざと笑って何度も心細げな体を抱いては撫でてやる。  拗ねていた烈己の頬もいつしか柔らかな笑みに変わっていて、視線が合わさった時、自然と烈己から唇を寄せた。
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