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「映画やドラマなんかじゃね、あっけなくひとが死にますがね。実際は、あんなに簡単に死ねるもんじゃないですよ。狩りをしていても、うさぎより大きいくらいの動物となれば、一発では仕留められません。打たれた獲物は、この世のものとも思えないような鳴き声をあげて、必死で逃げまどいます。それを追いかけてとどめを刺すのは、長く苦しませないための礼儀なのです」
庭園の池で、また鯉の跳ねる音がした。松本は美味しそうに鯉の洗いを口にして、日本酒を味わった。
「池で鯉を飼っていらっしゃるのも、そういうわけなのですか?」
横瀬は勇気を出して訊いてみた。
松本の飼っている錦鯉は百匹を超えるほどだと知っていた。
松本は笑った。
「横瀬さん。私の錦鯉はコレクションですよ。観賞用です。一匹いくらすると思っているんですか。それに泥臭くって食べられやしませんよ」
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