3/4
49人が本棚に入れています
本棚に追加
/426ページ
朗らかに、返事をよこす妹に、タマモは目を細めた。 「仕方ないな。いいかい?何かあったら、すぐ、私を呼ぶんだよ」 「はい!」 大きく返事をするスモモの瞳は、タマモではなく、先にたなびく雲海を見つめている。 あの先に――。あの雲の向こうに――。 「ああ、それから」 何やら、兄が言っている。でも、スモモは気もそぞろだった。 「スモモ、いいね。お前の姉様たちに伝えているから。いいつけは、ちゃんと守るんだよ?」 「はい!兄様!」 ああ、わかったと、肩をすくめたタマモは、妹を抱き上げると、そのまま、小さな体を、ぶんっと放り投げた。 きゃっと、悲鳴があがり、スモモは宙を舞う。 「ああ!スモモ!ちゃんと目を開けて!前を見なさい!」
/426ページ

最初のコメントを投稿しよう!