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朗らかに、返事をよこす妹に、タマモは目を細めた。
「仕方ないな。いいかい?何かあったら、すぐ、私を呼ぶんだよ」
「はい!」
大きく返事をするスモモの瞳は、タマモではなく、先にたなびく雲海を見つめている。
あの先に――。あの雲の向こうに――。
「ああ、それから」
何やら、兄が言っている。でも、スモモは気もそぞろだった。
「スモモ、いいね。お前の姉様たちに伝えているから。いいつけは、ちゃんと守るんだよ?」
「はい!兄様!」
ああ、わかったと、肩をすくめたタマモは、妹を抱き上げると、そのまま、小さな体を、ぶんっと放り投げた。
きゃっと、悲鳴があがり、スモモは宙を舞う。
「ああ!スモモ!ちゃんと目を開けて!前を見なさい!」
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