境界線のその先は

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 信久は何度もキスを繰り返してから、愛おしそうに徳香を見つめる。 「もう無理だと思っていたんだ……徳香はきっと友達以上には見てくれないって……。自分から壁を越えるとは言ったけど、そんなのはただの強がりでしかなくて、本音を言えば、最後にリハビリじゃなくて、ちゃんと徳香をこの手で抱きたかった……」 「……それだとセックスしたかっただけに聞こえるけど」 「ち、違うって! ……でも全否定は出来ない……」 「無視されて、かなり傷付いたし」 「えっ……そうなの? ごめん……」 「なんてね。大丈夫。ちゃんとわかってるから」  徳香は困ったように笑う。 「さっき長崎さんに言われたの。『あなたも鈍感なんじゃない?』って。否定出来なかったよ。だから……信久がいっぱいアプローチしてくれてたのに、私も気付くのが遅くなっちゃってごめんね」 「そんなことない……俺だけの徳香になったって思うと嬉しいから」 「それにしたって信久のアプローチって本当にわかりにくい」 「……アプローチなんてやったことないし、俺もよくわからなかったんだ……」 「うふふ……でも振り返ってみて、いろいろ気付いたらすごく嬉しかった……。信久のことが大好き、愛してる。こんな気持ちになったのって、信久が初めてかもしれない」 「……本当に?」 「うん……不思議なんだけどね、こんなに離れたくない、ずっとそばにいたいって思ったのは信久だけ……。もしかしたら私ってかなり独占欲強いのかも。覚悟しててね」 「それは俺もだよ。徳香を離す気はないから。それに徳香の独占欲なら大歓迎だ」  二人は微笑み合い、視線が絡まると同時にどちらからともなくキスをした。信久は貪るように徳香の唇を奪う。舌が絡み合う甘い感触に、徳香は何も考えられずにそっと目を閉じた。
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