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きつく抱きしめられると苦しいけど、彼の匂いを胸いっぱいに吸い込み、心臓の音を間近で感じられるのはとてもホッとする。
「本当に不思議……初めて喋った時は、こんな未来が来るなんて想像もつかなかったのになぁ」
お互いに好きな人がいて、同じ境遇だからこそ励まし合える友達というのが二人の始まり。それからは一緒にいても自然体でいられたし、二人でいることの方が楽しくなっていた。
信久は指に徳香の長い髪を絡めながら微笑んだ。
「そうだね……でも伏線はあったのかなって気はしてる」
「伏線? 趣味が同じこと?」
「それもあるけど……なんていうかさ、そんな深い付き合いじゃないのに、そばにいても嫌じゃなかったんだよね。最初からあんなに普通に話せたのって、俺は徳香くらいだったよ」
あぁ、なんだ、信久も同じことを思ってくれていたなんて……最初からお互い特別だったんだ。
「だから友達のポジションが落ち着いたのかもしれないけどね」
「本当にね……。居心地が良過ぎちゃった気はしてる。でも今は……ちょっと変わったかな」
信久の仕草にキュンとしたり、触れ合うとドキドキしたり、友達じゃ味わえなかった感覚が私の中に芽生えてる。
「ねぇ信久。私が笹原さんにフラれちゃった時に、いろいろやりたいことがあったって言ったの覚えてる?」
「うん、だから『笹原さんに限定しないで、次に付き合う人とやりたいことのリスト入れればいい』って言った」
徳香は信久に向かってにっこりと微笑む。
「私ね、信久とやりたいこと、行きたいところがたくさんあるの。これから二人でいっぱい思い出を作って行こうね」
すると信久は嬉しそうに微笑むと、徳香にそっとキスをする。
「次に付き合うのが俺だったらいいのにってずっと思ってたんだ……。ねぇ徳香、せっかくだし、明日デートしようか。ちゃんと恋人として。徳香の行きたいところに行こう」
「うん……ありがとう……」
信久のキスが激しくなり、再び徳香の体はベッドに押し倒される。
「好きだよ、徳香……」
信久が愛を囁くたびに、愛されてると実感する。それが胸を熱くして、これ以上にない喜びに変わるの。
「私も好き……だからずっとそばにいてね……」
貪るようなキスをされ、再び信久と一つになる。
こんなにわかりやすい愛情をくれるあなたが、愛しくて仕方ない。あなたに愛されて、私はこんなも幸せを感じてる。
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