3#ユキヒョウmeetsトラ

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 「珍しいなあ。こんなとこにトラが来るなんて。  オレンジの身体に、黒いシマシマ。正しく『トラ』だ。しかも僕と同じ子供だ。」  ユキヒョウの子のルロは息を潜めて、その白に黒斑の身体を雪の中に埋めた。  「もしかしたら、こいつは俺と同じ『みなしご』なのかなあ?  それにしても、ジャングルの山林住みのトラが何でここに?  体つきから、雪対応のアムールトラじゃないしなぁ。  ちょっと観察しよ。  あっ、トラのやつ。自分の息が白く煙ってるのを驚いてはしゃいでる!!  あははっ!息の煙を捕まえようとして転んだ。  あはははははっ!  やばっ!!俺の息の煙があのトラのところへ飛んでっちゃった!!  ここに居るのがバレるバレるバレるバレるバレる!!」  ドテッ!!  子トラに向かおうとした子ユキヒョウのルロは、脚を肉球と爪で支えきれずに雪轍に躓いて転倒しまった。  「ユキヒョウとした事が・・・」  ムクッと起き上がった子ユキヒョウのルロは、ペロッと舌を出してテヘッと照れ笑いした。  子ユキヒョウのルロは、再び雪原に隠れて子トラのショジの様子を伺った。  「あははははっ!トラの奴、くしゃみしてるの!!やっぱりこの寒さが堪えたのかな?」  ちらっ。  「やばっ!!見つかっちゃったかな?笑い声聞こえちゃったかな?」  子ユキヒョウのルロは冷や汗をかいて、雪原の中で息を潜めた。  「ちょーーーーっと近づいちゃおうかな・・・しめしめ・・・」    ルロは、抜き足差し足忍び足。  その逞しい脚を雪原に踏みしめてほふく前進して、そろりそろりと近づいた。  抜き脚、  差し足、  忍び足、  抜き脚、  差し足、  忍び足、  抜き足・・・  「誰?そこに居るのは?誰?誰だい!! 返事して返事!!」    「やばっ!!見つかっちゃった!!」  子ユキヒョウの顔はみるみるうちに青ざめ、ゆっくりと子トラのショジの目の前にやって来た。  「誰だい?今さっきから僕をつけてきた奴。白いなあ。雪みたいに真っ白。  ヒョウみたいなまだら模様だし。」  「ねぇ、君こそ誰だよ?俺の縄張りに何しに来たの?トラさん。」
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