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窓からさす光で目を覚ました俺は起き上がろうとして腰の鈍痛に眉をしかめた。
「…ってえ…。」
自分が裸なのもあって、訳が分からずとりあえず壁にもたれて腰をさすっていると隣に違和感を覚えて横を見る。
無駄に広いキングサイズのベッドの端っこで猫みたいに丸まっている背中が見えて俺は昨日の事を一気に思い出した。
「………え…あ…、、あー…やらかしたぁ…。」
自分の膝に顔を埋めて頭を抱えていると微かに彼が身じろいでゆっくりと俺の方に寝がいりをうった。
バチッと目が合って、気だるげな月見さんの顔が微かに微笑んで、おはようって掠れた声で挨拶される。
光に照らされた月見さんの顔は無駄に色気があって、グレーと青の混ざった様な透明感のある瞳に魅入ってしまう。
「…おはよう、ございます…。」
「起きるの早いんだね。」
月見さんの言葉で時計を確認するとまだ7時前で、てっきり10時くらいだと思っていたから驚いた。ずるずるとまた毛布の中に戻ると月見さんが俺の方に寄ってきて俺の背中に腕を回してくる。
「…近いですよ。」
お互い裸でくっついているこの状況も既に訳が分からないけど、こんなに綺麗な人に抱きつかれている状況も意味不明だ。
「身体大丈夫?」
するっと腰を撫でられてぞくりと背中に電流みたいなものが走る。
俺は月見さんから距離をとるべく後ろに体を動かした。
それを月見さんが腕の力で停めてくるから、しばらく攻防した末に離れるのは諦めた。
この人力強すぎ。
「…頭痛いっす。」
「だから飲みすぎって言ったのに。」
「それもですけど…この状況のせいですね。」
「あぁ…ご馳走様。」
意地悪気な顔で言われて俺は顔を真っ赤にさせた。
正直酔ってたせいで内容は全然覚えてないというか、口移しされた所までしか覚えてないけどこの様子だと最後までしてしまったんだろうし…とりあえず俺初めてだったんだけど…。
「俺…覚えてないです。」
「…どこから?」
「……口移しされたのは辛うじて覚えてますけど…その後は…んーー…。」
「………ふーん。あんなに可愛くオネダリしてきたのに。」
「えっ、、えっ!?」
困惑してる俺を他所に俺があーだったとかこうだったとかってわざと話して聞かせ始める月見さんの口を思わず手で塞ぐ。
「やめてくださいよ!?」
口元にある手をチラって見た月見さんがスって目を細めたと思ったら俺の手のひらをペロって舐めて、それに反射的に手を離すとグイッと頭を引かれて唇と唇が合わさった。
「んん!」
くちゅって音が響いてシラフの俺は恥ずかしさで泣きたくなる。
昨日は酒のせいでキスしてると思ってたけどこの様子だとキスが好きなのかもしれないと考え直した。
「…と、友達はキスしませんしセックスもしませんよっ!」
ようやく長いキスを終えて唇が離れた瞬間にそう抗議すると月見さんがそうだねって笑う。
「細かいことはいいんじゃない。それより立ってるけど、興奮したの?」
股間を撫でられて俺は慌ててベッドから飛び起きた。
「…ぬ、抜いてきますっ!!」
これ以上なにかされてたまるもんかって思いながらトイレに駆け込む。
やっぱり腰は痛くて本当にやったのかって思いながら、完全にこれはセフレだってまた頭を抱えた。
「…そういやなにしたいか考えないと。」
ぼんやり思いながらさっさと息子を落ち着けて俺はトイレを出る。
そのまま洗面所まで行くと顔を洗って歯磨きをした。
「…キスするならせめて歯ぐらい磨かせてくれよ…。」
はずかしさで悶えつつ独り愚痴る。
「遊び行きたいかも。」
なんとなーくそう思って、俺は月見さんにそう提案することを決めた。
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