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新学期
新学期、それは私にとって複雑なもの。
もちろん学校に行けば、家とは少し違って自由にできる。好きな小説だって休み時間になれば、誰にも文句を言われず好きなだけ読んでいられる。
しかし、それを邪魔する奴がいるから面倒である。
「ねぇ、何読んでるの?」
まただ。顔を上げなくても分かる。恐らくクラスの男子グループ内の罰ゲームだ。
後ろから声が聞こえる。
「なぁ、アイツ無視されてるぞ」
「それな。じゃぁ今日はアイツの奢りで決まりだな」
本当に、男という奴はどうしても何かを賭けないと気が済まないらしい。
私が顔を上げない事に諦めたのか、目の前に立っていた男は後ろのグループの方へと戻って行った。
(ざまぁみろ)
結局、小説の内容は全く私の頭の中に入ってこないまま、次の授業の始まりを告げるチャイムが鳴ってしまった。
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