妄執

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それから、2週間くらい経っただろうか。 息子が言いにくそうに「マンションの話なんだけどさ。」と切り出した。 「やっぱり、ジジとババと一緒に暮らすのはちょっと嫌かも。」 息子には両親のことを悪く言ったり、昔の話もしたことはない。 しかし、普段見ていれば、ジジとババが不仲だということは一目瞭然だ。 もしかしたら、私のことを心配してくれたのかもしれない。 「そっか。わかった。一緒に暮らすのは無しにしよう。」 そう言うと、息子は申し訳なさそうに、 「悪いね‥」と言った。 いや、却って母親である私が、息子に気を遣わせてしまい悪いことをしてしまった。 ごめんね、希。
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