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優等生
身体は小さく細かったが、たまに高熱を出すくらいで
比較的健康だったようだ。
念願の幼稚園に入園してからも、物静かで控えめ、先生や大人たちの教えには従順に従う。
「いい子」「優等生」
そんな風に言われることが多く、なかにはそれを面白くないと思う者もいて、鋏で髪を切られたり、意地悪をされて泣くことも少なくなかった。
しかし、この頃の私が母親を勘違いさせる原因になったのかもしれないと、今になって思ったりする。
造船業の父親と、専業主婦の母親。
市営のアパートに家族5人。
決して裕福とはいえない、寧ろ貧乏な家庭だったかもしれない。
姉たちとは歳が離れているからか、それとも覚えていないだけか、一緒に遊んだ記憶は殆どない。
母親は、姉たちの成績にはあまり関心がなかったのだろうか。
姉たちが成績について母親から叱られているところを、私は見た記憶がない。
幼稚園では、年長組になると知能テストというものがあった。
たくさんの問題を限られた時間で解いた記憶は未だ残っている。
知能指数といっても、所詮まだ五歳。
将来的にこの数値が本物なのか、まぐれなものなのかはわかるわけがない。
私自身、知能指数という言葉すら知らない年齢だ。
結果はIQ138。
クラスで一番だったらしい。
評価は「優良」だったが、先生には
「羽美ちゃんの優良は最優良だと思っていいです」と言われたと、母親は自慢をしていた。
嬉しそうに自慢話をする母親を見て、幼い私も嬉しかったのを覚えている。
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