99人が本棚に入れています
本棚に追加
虐め
小学三年生にもなると、クラスの女子からちょっかいを出される程度だったものも、仲間外れや嫌がらせという類いのものに変化していく。
女の子特有の、昨日まで仲良しだったのに今日からシカトされるような、アレだ。
登校すると、私の下駄箱にはあるはずの上履きがない。
すれ違い様に「ぶりっこ」と言われ、振り向くとせせら笑っている。
最悪だったのは、苦手な体育の授業中だ。
運動神経ゼロ、ボールが怖い私は、ドッチボールの試合など地獄でしかない。
ボールが怖くて逃げ惑うので、結局最後までコート内に残ってしまう。
当時、ボールを3個使ったドッチボールを授業で行うことが多く、最後まで残ってしまう私に向かって外野から3個のボールが同時に投げられるのだ。
示し合わせて「せーの!」と頭や腹に向かって投げられるボール。
五科目の成績は常にトップであった私は、致命的な運動神経の悪さでこんな仕打ちに合わなければならない。
無意識に私は成績優秀であることを鼻にかけていたのだろうか。。
いや。
自慢などしたことはない。
勉強が好きなわけではなく、寧ろ勉強などどうでも良かった。
私はただ、無条件に親に愛されたかっただけだ。
国語のテストで読みがなを一文字間違え、99点だった時。
母親はこう言って、正座をしていた私の太腿を叩いた。
「どうしてこの1点が取れないの!」
右の太腿にはピンク色の手の跡がついたのを覚えている。
そんな母親に、上履きを隠されたなんてことを言えるはずもなく、焼却炉に投げ捨てられている上履きを拾い、何事もなかったように汚れた上履きを履いて学校生活を送っていた。
その頃の私は、母親の圧力とクラスメイトの虐めに立ち向かう勇気も気力もなく、気弱な女の子だった。
今の私しか知らない者には信じられないであろう。
思っていることをいつも自分の中にだけ仕舞い込み、周りからの攻撃にただただ耐えて泣くだけだった。
最初のコメントを投稿しよう!