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洗脳
知らなくてもいいこと。
聞きたくないこと。
知らなければ良かったこと。
生きていくのに必要ではない情報というものは存在する。
ひとつの家族という小さな箱の中で、私は今まで沢山の「知らなくていいこと」を母親から聞かされていた。
毎日毎日同じようなことばかり。
全て、父の話だ。
どちらかというと「パパっ子」だった私は、父の様々な悪事や性癖を母から聞かされる度に、父を避けざるを得なくなった。
耳から聞く情報というのは、それが真実か否か関係なく恐ろしい洗脳のひとつだ。
今になってみれば、母は当時ストレスを発散させる場も友もなかったのであろう。
唯一、私という存在が母の乱れた心を癒せるものだったのかもしれないと思う。
しかし、まだ子供だった私には、母から聞かされていた話は「いらない情報」ばかりだ。
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