わたし

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わたし

降る雨たち やがて雪へとかわり霙へと化す かざした手のひら、すべりこむ人差し指 ぴとっと触れた つるつる、ぺたぺた、べたべた すっと指差した ざーざー、ぽとぽと、ぽつりぽつり 自分は無色であり世界は透明 ここは何も介入しないし何も介入されない硝子の器の中 温度も感じない、気温もわからない、痛みもない ただどこにもいけない場所 師走の日、無色透明に迷いこんだ私は冬迷硝子(とうめいがらす)
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