1/7
前へ
/24ページ
次へ

あの日からさらに4年と少しが過ぎる。 善は6年生、ワタシとのペアリング最後の年となった。 「――宵兄ちゃん!!」 玄関のチャイムが鳴ると、もうカメラを確認できるまでに背の伸びた善が、ワタシの許可など取ることもなく、宵を部屋に招き入れるようになっていた。 子供の成長とは早い。 宵なんてもう、23歳の大人だ。 この前なんてお酒を飲む姿を見せに来たくらいだ。 「よう、善。それと、俺の日葵ママ」 「ワタシはあなたのものではありません」 「それでも俺の中ではもうお前しか考えらんねぇよ」 4年前はチャラチャラとしていた格好が、社会に出ると共に落ち着いた服装となった。 小さな机を囲み、定位置に腰を下ろす宵にハーブティーを出す。 「今ワタシは善とペアリングしているので、ワタシは善のものと言えます」 「過去では俺のものだったってことじゃん。今でも俺のものってことでよくね?提供者に聞いてみ?」 「――誰のモノ、という表現が気に入らないようです。アンドロイドはモノですが、人間相手にその表現は不適切だと」
/24ページ

最初のコメントを投稿しよう!

0人が本棚に入れています
本棚に追加