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「細けぇな。まぁ無理出来ねぇことも知ってるからこうして待ってるわけだけど」 「待ってる?」 じっと宵の目を見て話しの続きを聞こうとしていると、ふと彼の指先がワタシの頬に触れた。 そのまま、背がずいぶんと伸びた宵の顔の位置に合わせて、顎の角度を少し上げられる。 「お前のペアリングは善で終わりだ。残りの人生全て、俺にくれ」 何を言っているのか? そもそもこの場合、アンドロイドのワタシの人生なんてものは存在せず、提供者の人生と言えるだろう。 そんな細かい話を抜きにしても。 「理解が出来ません」 「待ってるのは善が12歳になるその時だ。お前のことかっさらって一生養ってやる」 「……あなたは自分が何を相手に話しているのか、解っていますか?」 12歳になると同時に、善も例外なく里親へと引き渡される。 宵も12歳で里親へと引き渡したのだから。 ワタシは、育児の為だけに稼働させられているアンドロイドだ。 機械であるワタシには、もちろん生殖器はない。 宵は生身の人間だ、ワタシと共に生きるということは、その後の人生を捨てることに等しい。
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