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それだけ俺に教えると、善は堰を切ったように泣き縋りついてきた。
やっぱり12年一緒にいた母が眠りに付くのは、いくら知っていた事とはいえ悲しいのだろう。
俺だって泣きたい、俺だって苦しい、俺だって日葵のこと――。
「好きって、そういや一度も伝え合ってなかったな……」
言い忘れた好きと、その好きを伝えてくれた善を胸に抱いて、俺たちは
夜通し涙を流していた。
euthanasia 安楽死
これは己の人生を手放した日葵が、アンドロイドへ人間の思考を貸した末に安楽死する物語である。
世間へ貢献してから安らかに死ねるのなら……そうして提供者を名乗り出てくる若者は多く、悲惨な自殺を選ぶ人々は減ったという。
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